小説家になろう広報戦略|小説家になろう攻略・分析記事
小説家になろうを利用していて「PVが増えない」「読んでもらえない」ということは、ほとんどの人が経験しているのではないでしょうか。利用者が多いからといって、どんな作品でも読まれるというわけではありません。
効果的に読者に作品を届けるためには、分析や攻略が必要です。
今回は、実際に小説家になろうに投稿しているhisaさんに攻略・分析について記事を書いていただきました。
- おっさん。既婚。
- 19歳ぐらいの頃から、まだ日記サイトだった「魔法のiらんど」や「作家でご飯」で活動し、複数の小説系サークルを主催。 関係会社あわせて従業員数5万人ぐらいの職場に就職したことをきっかけに、作家活動から撤退。同じ会社内で建築系、システム系、広報系、福祉系を経て、現在は教育系。
- 2年ほど前に、約20年ぶりに小説界隈に戻ってきた浦島太郎。 守備範囲は小説、インテリア、猫、システム、広報、お酒などなど。 座右の銘は「責難は成事にあらず」。 ちなみに、小説の批評は客観的な視点で話せるなら辛口の方が良い気がしてる。
- 【Twitter】 https://twitter.com/project_hisa
はじめに
『小説家になろう』について、記事を書いてほしいと頼まれました。
私自身は書籍化には程遠いレベルの中堅なので、少しおこがましい気もしますが、わかる範囲で書いてみようかと思います。
なお、この記事はネット投稿系の、読者を強く意識している作者さん向けのものです。
読者を意識することに抵抗がある作者さん向けではありませんので、その点ご注意ください。
なぜ戦略が必要なのか
さて、今回テーマとなる『小説家になろう』ですが、小説投稿サイトとしては、業界トップというのはよく知られています。しかし、それがどの程度の規模かはあまり知られていません。
実は『小説家になろう』は、日本国内で15位のアクセス数を誇るサイトです(2021年10月時点 諸説あり)
有名どころだと、Instagramで17位、Facebookで20位、LINEで21位、5ちゃんねるで27位と言えば、相対的な規模が伝わるでしょうか。
エンタメコンテンツとしての存在感は、すでに国内でも有数。
小説系に限って言えば、絶対的王者の位置にいます。
少数の社員で、よくもまぁそこまで成長させたもんですよね。収益性の潜在能力も桁違いなので、僕がどこぞの大手の社長なら、絶対買収持ちかけてます。
そんな『小説家になろう』ですが、その圧倒的な規模にも関わらず、敬遠する作家さんが後を絶ちません。
原因は簡単。「読まれないから」です。
自分は面白い小説を書いている。にも関わらず、まったく読まれない。
「自分の作品は『小説家になろう』には向いていないのではないか?」という反応はまだマシなほうで、そこから「面白いというのは、実は自分の独りよがりで、本当は面白くないのではないか」だとか、「運営がすべて悪い」だとか、極端な思考へ偏ってしまう方もいます。
しかし、考えてもみてください。
『小説家になろう』には、面白い作品が読みきれないほど大量にストックされており、しかもそれが無料で読めて、さらに毎日のように新作が投入されます。
そんな中で、実績がない無名の作家志望者が、ただ漫然と投稿して作品を読んでもらえるものでしょうか?
読者は投稿された作品を、平等に、順番に、すべて読んでくれるわけではありません。
読者は楽しむためになろうに来ているので、聞いたこともない作家の、面白いかどうかもわからない作品を読む理由はないのです。
何の工夫もない作品は容赦なく選別されて、面白かろうと面白くなかろうと、その存在にすら気づいてもらえないでしょう。
無名の作家志望者が多くの読者に選んでもらうためには、それなりの『戦略』が必要になるのです。
小説家になろうにおける広報戦略
類似の戦略をあげると、広告業界の広報戦略というものがあります。
広告業界の広報戦略
『知ってもらう』
『愛着を持ってもらう』
『買ってもらう』
『覚えておいてもらう』
何か商品を売りたい場合に、広報活動を『知ってもらう』『愛着を持ってもらう』『買ってもらう』『覚えておいてもらう』という4段階のフェーズに分け、それぞれのフェーズに対して効果的な活動を考え、全体の広報戦略を組み立てていくものです。(別流派もあり)
これをなろう小説に置き換えて考えると、
小説家になろうの広報戦略
『見つけてもらう』
『興味を持ってもらう』
『読み始めてもらう』
『読み続けてもらう』
というフェーズ分けとなるでしょうか。
よく話題になるストーリーの面白さや文章の最適化は、読者から見て4段階目の『読み続けてもらう』に属する要素です。
なろうで人気のある作品は、すべてのフェーズに対策がされているので、当然のようにストーリーや文章が最適化されていて、初心者のなろう作家はそこにばかり目がいってしまいます。
内容が面白いことの重要さはもちろん否定しませんが、それだけでは、見つけてもらいにくく、興味を持ってもらいにくく、読み始めてもらいにくい作品になりかねません。
読んでもらうためには、面白い作品を用意した上で、他の3つをクリアすることも重要になってきます。
では、なろうで作品を『見つけてもらう』にはどうすれば良いでしょうか?
トップページを攻略しよう!投稿時間で差をつける方法
まずは、読者が読みにくる経路を明確にイメージしてみてください。
最初はもっとも利用者が多く、直接的に影響するものから対策をしていくのが良いでしょう。
SNSを重視する人もいますが、僕は570人ぐらいのフォロワーがいるTwitterで告知して、月に3~6人程度の効果しか出ていません。
それに対し、なろうのトップページに対する対策なら、各話更新時で50人~70人ぐらいの新規流入があります。対策が手堅い他作者だと100人、極めた人なら初手で1万人ぐらいの流入を実現した人もいました。
僕なら、なろうのトップページから対策します。
と、いうわけで、みなさんもなろうのトップページをもう一度じっくりと観察してみてください。
上から
『月間ランキング』
『完結済みの連載小説』
『更新された連載小説』
『新着の短編小説』
の順番で表示されているはずです。
このどれかに掲載できれば、読者に見つけてもらえる可能性は爆増しますが、初心者の段階では『月間ランキング』や『完結済み連載小説』はまだ難しいでしょう。
狙うなら、『更新された連載小説』あたりが一番手堅いはずです。
『更新された連載小説』の仕組みは単純で、その時間に更新された連載小説が、新しい順に掲載されているだけです。しかし、何も考えず更新した場合、ここに掲載されるかどうかは時の運になります。
もちろん、私は『運』などというものは信じていません。
これを読んでいる皆さんにも信じて欲しくないので、『更新された連載小説』の下にある『もっと見る』を見てください。
作品がズラッと並び、更新された時刻が表示されるかと思います。
試しに何時でも良いので、0分に更新された作品の数を数えてみてください。
毎時0分更新されたものは、予約更新とほぼ同義です。
何作あるかは時間帯によりますが、仮に100作更新されていたとしましょう。
トップページに掲載される作品は10作なので、掲載率は10%になります。
ちなみに、ピーク時の更新作品は100作を超える場合もあるので、さらに確率は下がります。
自作を予約投稿で見つけてもらおうと思うのは、無謀でしょう。
となると、手動更新が基本になるのですが、毎時0分〜10分ぐらいの間は、予約更新はずしの手動更新が急増したり、バッチサーバの負荷的な問題なのか、更新間隔が不規則になったりするので、あまりおすすめできません。
ついでに言うと、手動更新であっても、16時台から23時台も、更新作品が多く読まれにくい傾向があるようです。
【ソース:なろうRaWiファンクラブ 【先行公開】アクセス解析2021】
※しばらくすると、無料版が公開されそう。
おすすめは、お昼前の11時台で、更新作品は比較的少なく、読者は多いので結構読まれます。が、それも情報が広がればライバルが増えるので、時代が変わっても対応できるよう、自力で計測できるようになるのが良いでしょうね。(最強時間帯は、僕も使っている時間帯だったので伏せています)
去年の最強時間帯だったお昼12時台は、情報が広がったのか他の時間並になっていましたし、経験的に平日と休日、平日の中でも月曜は異質だったりしました。
さて、更新時間帯を調整して、さらにトップページの更新タイミングから作品更新が逆算できるようになると、トップページに高確率で載せることができるようになります。そこまでいけば読者に『見つけてもらう』ことはできるでしょう。しかし、それだけではまだ足りません。
まだ読者の目に触れられる段階に進んだだけで、『興味を持ってもらう』ことができなければ、クリックしてもらうことはできません。
それを踏まえて、もう一度、『更新された連載小説』欄を見てください。
読者に『興味を持ってもらう』ための要素を、投稿者が意図的に埋め込めるのは、そこに表示されているタイトル、作者名だけです。
読者が最初に見るのはタイトル
昨今、長文タイトルが空前のブームとなりましたが、その原因は今みなさんが見ているトップページにあります。
なろうの新規読者流入経路は極めて狭いため、更新欄でアピールする以外に、新規なろう作家が成り上がる道はありません。
結果としてタイトル上での熾烈なアピール合戦が起こり、今の長文タイトルブームへとつながっています。
サイトデザインひとつで、出版業界を巻き込んだブームが巻き起こったと考えれば、なろうの影響力はとてつもないものがあります。
ちなみに、最近はベテラン作家さんに長文タイトルを要求する編集さんもいるようですが、僕的には、デメリットもあるのではないかと思ったりします。
文庫本の背表紙は面積が狭いので、タイトルが長くなると必然的に文字が小さくなり、そういうのが増えてくると逆に書店で目立たなくなりそうな気がしませんか?
その辺を両立できるかは専門外ですが、装丁のデザイナーさんは大変そうだなーと思ったりはします。
どちらにせよ、読者に『興味を持ってもらう』という点では、タイトルは極めて重要な要素です。長文タイトルであるにせよ、短文タイトルであるにせよ、それが求めている作品、面白そうな作品であると読者に伝わらなければ、開かれることすらないのは同様です。
ただ、短文タイトルはまだノウハウは確立されているとはいえないため、それで突き抜けることは困難がともなうでしょう。
参加しているオープンチャットで、タイトルだけコンテストなどが開催されるのですが、タイトル間でかなり得票数が違います。
僕も分析を続けていますが、良し悪しの判断基準にまでは至っていません。
長文タイトルに関してはノウハウが確立され、AI診断まで開発されていますので、入りやすそうな気はします。
ここに投下するためのタイトルの作り方を勉強したい方は、ログラインやキャッチコピーあたりを学んでみると良いかもしれません。
ちなみに長文タイトルを採用する場合、なろうのサイトデザイン上、最初の24文字(機種により可変)以降は省略されます。読者をフックするキーワードは前半にないと、クリックしてもらえる効果は低くなるので注意しましょう。
次は『読み始めてもらう』というステップ。
読者があなたの作品を見つけて、興味を持って作品をクリックすると、表示されるのは作品の省略されていない状態の「タイトル」と、「あらすじ」と、「各話のサブタイトル」が並びます。
ここまでくると、かなり投稿者側で操作できる項目が増えてきます。
読者はクリックした時点で、ある程度期待をしています。
ここから先、重要になるのが読者の『期待感』です。
あらすじもサブタイトルも、もっと言えば作品の冒頭も、読者の期待をマイナス方向に裏切らないようにしなければなりません。
読者は『期待感』がなくなった時点で読むのをやめてしまいます。
よって、タイトルから感じる『期待感』を損なうあらすじは、読者を減じさせます。このあたりから、正解は無数に分かれてきます。
連載のネット小説は、ブログなどのメディアとは違い、タイトル→あらすじ→1話→2話→……といった具合に順番に読んでいき、飛ばして読まれることはあまりありません。一度『期待感』を失って離れた読者は戻ってきませんので、読者の『期待感』に着目していろいろ組み立てていくと良いかもしれません。
というわけで、本日はこれまで〜
まとめ
- 小説家になろうで読んでもらうためには戦略・分析は必須ともいえる有効な手段
- トップページの「更新された連載小説」欄の掲載を目指そう
⇒手動更新が効果的!
⇒現在のオススメは昼の11時台 - タイトルで読者を引き込もう!ツールも利用すべし
hisaさん、貴重なアドバイスありがとうございました!
管理人からお知らせ
今回の記事では、hisaさんの完全なるご好意にて記事をご寄稿いただきました。誠にありがとうございました。
今後も、Web Novel Laboではゲストライターをお招きして小説投稿サイトの攻略や分析、体験談の情報をお届けいたします。
管理人だけの主観だと情報が不足したり、偏ることもあり、定期的に執筆やインタビューを依頼させていただく予定です。
分析や攻略だけでなく、コラムやエッセイのようなものも今後は掲載していく予定です。
様々な分析や体験に触れ、ここに来ていただけるユーザー様が自分にとっての良い情報を選び、取捨選択できるようなブログを目指しています。
何卒、よろしくお願いいたします。
色々な意見を聞かせてください!
コメント
コメント一覧 (2件)
『小説家になろう』には登録していませんが、戦略やタイトルのことなど勉強になることばかりでした!
私はアピール力が足りないし、タイトルもイマイチ……もっと勉強しなければと思いました。
貴重なお話、ありがとうございます。
読んでいただきありがとうございます。
だいたいどこの小説投稿サイトでも、ブログでも、広告でも、相手がどこから来ているかは把握しないと先へ進めません。
僕もまだまだなので、一緒にがんばりましょう!