第1回 ちくま800字文学賞結果発表

第1回 ちくま800字文学賞では、1,005作品のご応募をいただきました。

たくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。

こちらは結果発表のページになります。

最終選考候補作の作者様にSNSで「Web Novel Labo事務局書記係」と名乗るアカウントからダイレクトメッセージが届くという事態が発生しました。 ちくま800字文学賞の運営スタッフ・審査員は全て開示しており、悪質な虚偽のメッセージです。もし、ちくま800字文学賞の関係者を名乗るものからメッセージが届いた場合は、内容を記録のうえ、ご連絡ください。また、虚偽のメッセージ以外でも悪質であると判断したアカウント・メッセージはすべて投稿時間を含め保存・記録のうえ対応してまいります。

目次

結果発表

ちくま未来新聞様とのコラボコンテスト「第1回 ちくま800字文学賞」の結果を発表いたします。

総応募数1,005作品から、3作品を受賞としました。

大賞

「嘘を八百」
田原にか

佳作

「非対面型怪奇モデル」
エビハラ


「縁合い」
なぎさ奈緒

選評

審査員長 塚田浩司

 まず、第一回ちくま800字文学賞の審査を無事に終え、今はホッとしております。

 1005作品という想定をはるかに上回る応募数に喜びと共に感謝の気持ちでいっぱいです。全作品を読まさせていただきましたが、どの作品もそれぞれ個性があり1005通りの物語を楽しませていただきました。

 選考は想像以上に大変でした。それでもその中に楽しさと学びになることがたくさんあり、非常に身になったと実感しております。本当にありがとうございました。応募作の中で優劣をつけるのは心苦しい作業でしたが、一生懸命選考させていただきました。

 では、大賞作から選評させていただきます。

 大賞作「嘘を八百」は男女の関係性もリアルでしたし、セリフもユニークでした。前半の嘘が伏線になり、ラストのオチに繋がる。そこが良かったですし痺れました。ただその伏線が目立たずわかりづらかったことが難点で、その伏線を読み飛ばしてしまうと、オチの意味がわからないだろうなと思いました。しかしそれでも総合的に素晴らしい作品であることに変わりはないですし、審査員全員が高得点をつけたことで大賞に選ばさせていただきました。おめでとうございました。

 佳作に選ばさせていただいた「非対面型怪奇モデル」は わかりやすくて、ユーモラスで、さらに今の時代を切り取った作品でした。わたしは1番に推しました。私以外の審査員からも大賞に推す声があったのですが、全体的な票が伸びずに佳作となりました。

 もう一つの佳作「縁合い」は最終候補作の中でもっとも文学的であり描写力も長けていると感じました。頭の中で夏祭りの怪しげでありながら美しい映像が浮かび上がりました。

  受賞作品以外に気に入った作品についても記します。


「SNS」これはとにかくオチの一文が良かったです。あーたしかに。と思わせてくれました。ただもう少し展開を上手に描けたなら、さらにオチが際立った気はします。
「タロウは神様になった」飼い犬のコーギーが神様になるという設定がまず面白かったです。オチに関して、私はほのぼのとして良いと思ったのですが、審査員の中では評価が割れました。個人的に犬が好きなのでポイント高かったです。
「友だち」は死神をモチーフにした心温まる物語です。  ショートショートと死神は相性が良いからか、死神を扱った応募作品が多かったのですが、その中で抜きん出たのが今作でした。第一回死神大賞に選びたいくらいです。

  最終候補作品はどれも良いところがあり自信を持って選出しました。もし第二回を開催できたら、第一回を超える面白い作品が集まることに期待しております。

 最後に応募してくださった方、応援してくださった方、協賛してくださった企業店舗様どうもありがとうございました。

特別審査員 しーなねこ

 どの作品もおもしろかったです!

 ジャンルも内容も多様で個性的な作品ばかりなので、審査をさせていただくにあたり、自分の中で基準を持たないと大変なことになると思いました。そこで、作品で扱っている素材のおもしろさ、ストーリー性、描写、オチの意外性という点を意識して読ませていただきました。

 大賞の『嘘を八百』はロマンティックでストーリー性が高く、人は嘘を八百までしかつくことができないという設定のユニークさ、八百のうちの一つが本当になることで、悲しい嘘が新たに生まれるという仕掛けに感動しました。みなさん納得の大賞だと思います。おめでとうございます!

 佳作の『縁合い』は幻想的な祭りの雰囲気が美しく、描写の点ではいちばんではと思いました。素敵です。

 同じく佳作の『非対面型怪奇モデル』は、社会性とユーモアがあり、くすっと笑わせてくれる、ショートショートの王道のような作品だと思いました。

 選外になってしまいましたが、『トレードマーク』は「花咲か師」という職業(?)の発想が興味深く、ラストで校長先生の似顔絵を書いた落書きが桜に浮かぶところに温かみを感じました。

『腹の立つ相手』は、腹立ち具合に応じて相手に不幸が訪れるというアイデアと、ラストで自分に腹が立って靴紐が切れるというオチのよさ。笑いと怖さのバランスが心地よかったです。

 ここで触れなかった作品も、それぞれスタイルがあっておもしろく、「ちくま800字文学賞」は、こんなに自由で広がりのある賞なのだなと、うらやましくなりました。ゲスト審査員をさせてもらえて、大変勉強になりました。ありがとうございます! 来年は私も応募します!(一次で落ちるかも)

運営・審査員 蜂賀 三月

 まずは、ちくま800字文学賞に参加していただいた方々、開催にご助力いただいた全ての皆様に感謝を伝えさせてください。本当に、ありがとうございました。

 当文学賞はジャンルを不問としたこともあり、ほぼすべてのジャンルの小説がきたと言っても過言ではないと思います。

 恋愛・ヒューマンドラマ・SF・コメディ・歴史・ファンタジーから童話まで……たった800字のなかでこれほど多岐に渡る作品が届いたことに感動しました。

 ただ、本当に残念だったのが募集条件を守れていなかった作品があったことでした。例で言うと、600字以下の小説、800字を超過した小説がありました。これは、いくら作品が良くても通過させることができません。なぜなら募集内容の枠外の作品を通すと、コンテストの公平性が失われてしまうからです。

 特にショートショートでは、あと1文字書きたい! 意地でも20文字減らさないといけない! という場面が少なくないです。なので、文字カウントは確実にお願いします。個別にお伝えすることはできませんが、きっと他の文学賞の審査をする方も同じような気持ちになることがあるんだろうな、と感じました。

 数々の素晴らしい作品を拝読できたこと、本当に嬉しく思います。

 それでは、選評に入らせていただきます。

大賞「嘘を八百」

 800字のなかで伏線を張り、しっかりと回収してくれた作品でした。嘘八百という言葉から発想を飛ばした作品だと思うのですが、完成度が高く、どの審査員からも高評価を得ています。恋をしたばかりのときめき、それが無くなるころ、そして最期の瞬間。時間の流れを800字のなかで巧みに描写しています。ショートショートの可能性・奥深さを感じさせてくれた、アイディアが光る名作でした。

佳作「非対面型怪奇モデル」

 時事問題・怪異を描いたショートショートはたくさんありましたが、こちらの作品はどちらの枠内でも頭ひとつ以上飛びぬけた完成度でした。現実ではいない(はずの)口裂け女の気持ちになぜか共感してしまう箇所もあり、ユーモラスなショートショートに仕上がっています。時代を切り取った作品であるのに、決してネガティブな印象にならないところも個人的には評価した部分でありました。物語に過不足なく、800文字という制限すら感じさせない作品。素晴らしかったです。

佳作「縁合い」

 描写・文章力が秀でていました。作品には独特のリズムが生まれており、想像させられる描写は不気味な雰囲気を漂わせながら予想を裏切り続けます。世界観がずば抜けていた印象です。香りについての文章は作品内になかったのですが、夏祭りのにおい、水槽の生臭いにおいを感じてしまうほどでした。筆者の筆力の高さがそれを読み手に与えています。印象的な作品でした。

 選外とはなりましたが「守護霊」についても書かせていただきます。

 高く評価していた作品です。書き出しから惹かれ、前のめりで作品を読まされました。文章はとてもわかりやすく、全年齢が安心して読める作品に仕上がっています。オチも笑えました。物語の組み立て方がとにかくうまかったです。

 応募して下さった皆様、応援してくれた皆様、協賛店舗様・後援企業様、そしてちくま未来新聞様、関わっていただいたすべての皆様に厚く御礼申し上げます。

受賞作品は大賞・佳作、どちらもちくま未来新聞への掲載が決定!
Web Novel Laboでも6月1日に掲載予定です。続報をお楽しみに。

最終選考候補作品

下記9作品を最終候補作品としました。

作品タイトル作者
「非対面型怪奇モデル」エビハラ
「SNS」だし◯くん
「トレードマーク」田辺ふみ
「友だち」秋谷 進
「腹の立つ相手」蒼山 ゆう子(あおやま ゆうこ)
「嘘を八百」田原にか
「縁合い」なぎさ奈緒
「タロウは神様になった」梅頭 カイノ
「守護霊」蒼山 ゆう子(あおやま ゆうこ)

以上応募総数1,005作品より、9作品を最終選考候補作品とします。

4次選考通過作品

4次選考では、下記20作品を通過としました。

作品タイトル作者
「キューピッドの湯」中臣モカマタリ
「世界で一番美しいのは。」雪月海桜
「まされる宝、子にしかめやも」こぼねサワー
「鷹と叔父」四宮ずかん
「非対面型怪奇モデル」エビハラ
「SNS」だし◯くん
「水色のオルゴール」ことのは もも。
「トレードマーク」田辺ふみ
「友だち」秋谷 進
「覚えていると死ぬ言葉」楽市びゅう
「腹の立つ相手」蒼山 ゆう子(あおやま ゆうこ)
「聖なる歌声」amanatz
「得る女」河崎摩周
「嘘を八百」田原にか
「深夜営業」たびー
「夜明け前」松本スイ
「縁合い」なぎさ奈緒
「香水トラベル」宮内ぱむ
「タロウは神様になった」梅頭 カイノ
「守護霊」蒼山 ゆう子(あおやま ゆうこ)

以上、3次選考を通過した44作品より、20作品を4次選考通過とします。

3次選考通過作品

1,005作品のなか、3次選考では44作品を通過としました。
なお、3次選考までの審査は原則筆名を確認せず、作品のみで審査を行いました。
(※応募確認の問い合わせ対応など、筆名を確認した場合でも審査において有利不利などはありませんのでご安心ください)


以下に作品タイトル及び作者名を記載します。(応募順・敬称略)

作品タイトル作者
「シアワセどろぼう」中臣モカマタリ
「キューピッドの湯」中臣モカマタリ
「おもいで鼈甲飴」くろせさんきち
「すごろく」後藤花凜
「連続殺人鬼ハート泥棒」砂藪
「世界で一番美しいのは。」雪月海桜
「まされる宝、子にしかめやも」こぼねサワー
「聞こえない観客」いそね
「歴史を変えるものは」社川 荘太郎
「鷹と叔父」四宮ずかん
「たびがらす」真江島志絽
「非対面型怪奇モデル」エビハラ
「SNS」だし◯くん
「水色のオルゴール」ことのは もも。
「トレードマーク」田辺ふみ
「この世で1番面白くないもの」アレシア
「犬泥棒」真井 とうか
「友だち」秋谷 進
「赤く塗られた父」一見 才
「ちくま萬葉百景 参」かずさん
「覚えていると死ぬ言葉」楽市びゅう
「ビフォア・コロナを知らない子供達」かずん
「奇跡を撃て」石原 三日月
「この気持ちを花に添えて」高崎みのり
「プロの神様」吉村うにうに
「腹の立つ相手」蒼山 ゆう子(あおやま ゆうこ)
「聖なる歌声」amanatz
「得る女」河崎摩周
「〇〇バレ」岡 まほり
「嘘を八百」田原にか
「結婚式と葬式」Emiko
「さんびきのこぶた」藤未 一晶
「深夜営業」たびー
「夜明け前」松本スイ
「或る電話」与井杏汰
「らしく生きる」ウダ・タマキ
「縁合い」なぎさ奈緒
「香水トラベル」宮内ぱむ
「タロウは神様になった」梅頭 カイノ
「守護霊」蒼山 ゆう子(あおやま ゆうこ)
「運命の人」まな板でここ
「御祝いの言葉」ナカタニエイト
「濃桃」藤井健太
「うちのアイちゃんが言うことには」たびー

以上、2次選考通過作品(136作品)から44作品を3次選考通過とします。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • t(
    楽しみにしています。
    自己啓発📕ばかり読んでいる私が、脳ミソが柔らかくなるような作品を読んで見ようと思いました夢が、60過ぎた私にも持てる楽しい妄想できる📕を期待しています。

    楽しみにしています。

    • 藤澤加代子様
      コメントありがとうございます。また、作品を楽しみにしていただているとのこと、大変嬉しく思います。
      今後とも、ちくま800字文学賞をよろしくお願いいたします。

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